【生活コラム】これで分かる⇒重陽節

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●概要

　重陽節（ちょうようせつ）は、中国、香港、マカオ、台湾、ベトナムにおいて伝統的な祝日で、旧暦の9月9日(2024年は10月11日)です。日本では旧暦では菊が咲く季節であることから菊の節句とも呼ばれます。空が高く澄みわたり、すがすがしい季節の頃で、現在は登高（高みに登り）や敬老（お年寄りを敬う）は「重陽節」の風習となっています。

　陰陽思想では奇数は陽の数であり、陽数の極である9が重なる日であることから「重陽」と呼ばれます。奇数の重なる月日は陽の気が強すぎるため不吉とされ、それを払う行事として節句が行なわれていましたが、九は一桁の数のうち最大の「陽」であり、特に負担の大きい節句と考えられていました。後、陽の重なりを吉祥とする考えに転じ、祝い事となったものです。

●由来：難を逃れる慣わし

　重陽節の由来についての歴史上の伝説があります。後漢（西暦25～220年）のころ、桓景という人が、ふるさとを離れて、道士の費長房に武芸を習っていました。（旧暦）9月9日その日に、道士の費長房に「いままぐ帰郷して、家族を連れて、茱萸（カワハジカミ）の袋を腕に結び、高みに登って『菊花酒』を飲み、災いを避けろ」と、そう言われました。桓景は半信半疑ですが、言われた通りに実行しました。夕方になり桓景が帰宅すると、飼育していたニワトリ、犬、牛、羊がいずれも命を落としていました。道士の費長房はそれを聞くと「主人の代わりに家畜が難を受けたのだ」と言いました。

　この話が広まり、人々が真似するようになっていきました。こうして重陽になると、高みに登り、茱萸をつけて、菊花酒を飲むという慣わしができたのです。その後は、民間から宮廷にいたるまで、こうした重陽節を過ごすようになっていきました。

●墓参り

　また、中国では祖先の墓を訪れて敬意を払う日でもあります。広東省、香港とマカオでは、一族全員が先祖代々の墓を訪れ、墓を綺麗にして捧げものをします。清明節の墓参りを「春祭り」とし、重陽節の墓参りを「秋祭り」とされます。しかし、多数の家庭では恒例の墓参りは年に一度だけ行います。

●敬老

　中華民族にはもとより「敬老」という古くからの伝統があります。重陽節では邪気を払い長寿を願って、各地方で、敬老つまりお年寄りを敬う日となっています。2012年6月26日、十一回全国人民代表大会常委会第二十七次回ではじめて中華人民共和国老年人権益保障法の修訂草案が審議されたました。その結果、2013年7月1日施行の同法第9条で重陽（旧暦9月9日）を「高齢者の日」（中国語: 老年节）と定めました。

　ここ数年、中国は高齢化社会の仲間入りをしました。経済が発展し、社会が進歩するにつれて、各地方では重陽節を「老年節」、または「敬老節」として重視しはじめています。この祝日には、政府機関や団体、コミュニティー、企業などがお年寄りを慰問したり、お年寄りの山登りや宴会、観光旅行などを組織したり、文化娯楽スポーツの活動や菊の展覧会を開いたりしています。それによって、お年寄りに社会からの関心や思いやりを感じてもらい、心身ともに楽しく、健康で長生きをしてもらうよう願うのであります。